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運命の出会い 9

運命の出会い  9

八代ひん助 58歳の頃縮小

1954年8月初旬、聖公会(イギリス国教会、アメリカ・エピスコパル教会等)の代表が集まるアングリカン・コングレスがミネアポリス(ミネソタ州)で開催され、当時日本聖公会の総裁主教であった父親が代表団を連れて、帰途シカゴに寄ると言う。シカゴには聖公会の日本人教会もあり、日系二世、日本人留学生も多く、日本への飛行機の乗り継ぎにも便利だった。

8月13日ミネワンカのキャンプまで迎えに来てくれた崇の車、(父親の送り迎えのために、シボレー48年型を300ドルで新たに購入していた)でシカゴに着いた私は父親たちが泊る予定であったホテルに一泊し、翌日父親一行が崇に案内されて到着するのを、ロービーで待っていた。

10人近くの日本人一行が、どやどやと入ってきた。
その群れの中に一人ずば抜けて貫禄のある、聖職の服装をした男性がいたので、話に聞いていた彼の父親、八代斌助であるとすぐ分かった。




ニューヨークにて父斌助と共に
崇と目配せをしたが、その時は、周囲を取り巻く人達もいたので、お辞儀をしたくらいで、改まって、紹介もされなかったし、挨拶もしなかった。

1900年生まれの父親だから、54歳のはず。私の知っている年配の偉い人と言えば、祖父、伯父、高校の校長、教師、所属していた近くの日本基督教団の教会の牧師などがいたが、改まって話等したこともなかったので、少しの不安もなかったとは言えない。

総裁主教を囲む一行や、彼らを訪ねてきたシカゴ在住の日本人、日本からの留学生達が歓談したり、食事をする間も、私は少し離れた所から父親を眺めていた。

その翌日だったか、はっきり覚えていないが、父親ほか6名の、サンフランシスコまでの大陸横断の旅が始まるのだが、その間の事情についてはこのブログの中で、崇の随筆集、月別アーカイブ2012-07-21の記事を合わせて読んで頂きたい。(この日付けをクリックすると開きます) 雑誌「立教」winter 1970 に「父・八代斌助 父の死に思うこと」として掲載されたものです。
(写真右:ニューヨークで1952年頃)

シカゴからサンフランシスコへ河原で食事1縮小
一行の中に日産自動車の社長の御曹司がいたので、運転手は崇一人でなくて助かった。
車社会の合衆国のこと、高速道路沿いにある町に近づくと車を乗り入れて宿泊できるモーテルがいくつも建っている。気楽に食事ができるようなレストランもある。町には通り沿いに店が立ち並んでいたり、近くに草原や河原があって、ピクニック風にサンドイッチ、ハンバーガー、ホットドッグ等を買って食事もできる。数日間私たち一行は、都会の生活を逃れて野性的な旅をした。野外で朝晩の礼拝をしたり、聖歌を歌ったりもした。( 写真左:川原で昼食)

IMG_八代家戦時中
ある時、私が少し疲れて昼間ベッドで横になり、一人休んでいたことがあった。父親がきて椅子もないので、床の上に胡坐をかき、私と同じ目線か、むしろ下から目線で話を始めた時にはちょっと、あわてた。後でわかったことだが、彼は牧師として、病気の信徒を訪問して語りかけるのには慣れていたのだった。そのような姿勢で 彼は息子崇の生い立ちや性格などを語り、兄弟の中で彼は人間的には一番優しい子なのだと言った。わざとらしくない自然な語り口に耳を傾けているうちに、私は彼の母親や10人もいる彼の兄弟姉妹の事も何となく分かってきた。
(写真右:この時はまだ戦時中で子供は8人だが、
終戦直前に一人生まれ、終戦直後に母が天に召され、
継母の連れ子一人と斌助の子一人が生まれ、加わった。)
シカゴで二人 5

そして私が感じたこと・・・
自分をしっかり守ろうとして築いていたバリケードが崩れ落ちたようだった。
これまで守ってきたこの世の常識、価値感覚が揺らいだようだった。
私は何と浅はかな人生観によって生きてきたのだろう。
終始,好天気に恵まれ、無事サンフランシスコに到着したころには、私の心は定まっていた。崇と結婚しようと。

人生には決定的な瞬間がある。その時がそうだった。

これは私が自ら選んだものではなかった。運命によってもたらされたものとしか言いようがない。アメリカに留学できたこと、ケニヨンのあるオハイオ州の大学を選んだこと、
崇を紹介してくれたケニヨンの男子学生がいたこと。丁度機が熟した時に救い主を彷彿とさせる父親に会えたこと・・・すべてが与えられたお恵みとしかいいようがない。

既に両親の意志で幼児洗礼を受けキリスト信徒であった私だが、今こそ、主によって与えられた最大のお恵みの瞬間であった。
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Author:eyyash
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