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心に残るミス・リーの言葉

心に残るミス・リーの言葉
                八代洋子

 神戸にも聖公会にも縁の無かった私が、1953年、当時としては遥か遠い国だったアメリカに留学し、八代崇と運命的な出会いをした。そして夫となった崇を通じて、ミス・リーという英国人宣教師を知ることになった。

 帰国した1958年当時は、既婚の女性が就職することなど難しい時代だったが、ミス・リーが校長をなさっていた聖ミカエル国際・英語学校ですぐに採用していただいた。
 
自宅の庭で教えるミス・リー_0001
  写真上:1970年、自宅の庭で子どもたちに教えるミス・リー

  大人の英語学校の方では、テキストも教える内容もすべて任せて下さったので、かなり好き放題にやって楽しかった。国際学校の方はいたずら盛りの小・中学生を相手に、まずおとなしくさせることに苦労したことを憶えている。ところが、ミス・リーが教室へ入ったとたんに全員が静まりかえるのには驚いた。彼等にとってミス・リーは怖い存在だったのだ。教員たちの勤務評定もしっかりなさっていたらしいので、私にとっても怖い上司だった。

 聞けば、英国での上流の暮らしを捨てて宣教のために、当時は生活水準のはるかに低かった日本に来られ、生涯を捧げられているとのこと。私などは及びもつかない立派なお方で、正直言って、近づき難い気持ちもあった。
 
ミス・リー記念パーティー1967縮小
 そのミス・リーがある時、たしか教会の婦人会だったと思うが、お話をなさったことがあった。テーマが何だったか、話の内容も大部分忘れたが、ある部分が妙に心に残っている。私とはいつも英語で話されていたので、あんなに美しい日本語を話されたことにも驚いた。およそ次のようなお言葉である。

 「天国へ行ってイエス様の前に立つのが怖いと思う時があります。私の思いも言葉も行動もすべて記録保存されているでしょうから。こんな悪いこともした、あんな悪いこともしたと思うと恥ずかしい思いで胸が一杯になります。」
 

いつも毅然として、非の打ちどころもないような立派なお方と思っていたのが、意外な告白をされたのだ。それ以後、私はミス・リーに親近感を覚え、とるに足りないような個人的な相談にもよくのって頂いた。

「想い出のミス・リー」(1996年9月発行)より
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