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日本聖公会及び北関東教区合同葬における弔辞 浜田陽太郎元立教大学総長

 
 八代さん、あなたはまだ私より6歳も若いというのに、私より先に天国に旅立たれてしまわれました。悲しみにたえません。それが天の摂理であるということは理解しているつもりですが、まだこれからあなたにやってほしかったことが山程あったことを思うと、誠に残念でなりません。

 今日ここで私があなたにお別れの言葉を申し上げるのは、それにふさわしい多くの方々がおられることから心苦しいのですが、生前の飲み仲間ということでお許しをいただきたいと思います。

 立教大学で同じ文学部に籍を置いた者として私はあなたの学識はもとより、優れた人格に敬意をいだいていましたし、また聖職者としてあなたの言動に他の方々にみられない独特のあじわいを感じて敬意を払っておりました。
研究センター長ほかの文学部内での要職はもとより、研究者がとかく避けて通ろうとする大学全体の管理運営にとって大切な役割、即ち学生部長、学生相談所長、体育会長というようなさまざまな要職をも、教育者のあなたは、その責任を回避することなく、淡々とおつとめになりました。

 しばらく私事にわたることをお許しください。私がはっきりあなたを意識し始めたのは、私が学部長に選ばれ同時に野球部長になった時、あなたはアメ・フトの部長、体育会幹事として行動しておられた時でした。私が呑み助であったせいか、同じ仲間としてあなたとよく飲み歩いたものでした。

 あなたは酒に乱れるのを嫌っておられました。いくら飲んでも静かにゆったり語る人柄でした。あなたが一緒にいると何となく心に安らぎを感じました。ノン・クリスチャンの私にはわかりませんが、それが聖職者としてのあなたの輝きだったのでしょうか。

 後に「体育会長を引き受けてよ」と言われるあなたに、つい引き受けてしまうようになる何かがあなたにありました。もうひとつ、1986年にあなたと私が推薦委員会から他の同僚たちと共に、総長候補者として推挙された時がそれでした。私は「あなたこそ立教大学の総長として相応しい方だ」と申し上げました。しかしあなたは「今の立教ではあなたが最適です」といってさっさと候補者になることを辞退してしまわれました。そしていつのまにか引き受けざるを得ない気持ちにさせるあなたでした。

 私は選挙の結果あなたの思惑どうり総長に選出されてしまいました。この不思議なあなたの人を魅了する人柄は何ものにも代えがたいあなたの生き方を示していました。逆にあなたに院長をお願いした時、あの多忙を極めた中で快く受けて下さいました。立教学院にとってあなたの存在がいかに大事でありかつ自然で会ったことを感じていました。

 あなたの院長常務理事という存在に励まされ助けられて大学の発展計画も緒に就くことができました。その募金に際しても率先して範を示されたあなたに見倣って聖公会有志からの絶大なご協力をいただいたことは忘れることはできません。

濱田総長とテープカット 新座キャンパス竣工感謝式にて
 そして多くの新しい施設の起工式・落成式には常に私の隣にあなたの姿があり、あなたの祈りが関係者を祝福して下さいました。

 八代さん、あなたは「イングランド宗教改革史研究」に代表される英国教会史の我が国における第一人者として、また一級の教育者として、さらに日本聖公会の首座主教として私たちを常に導き、指針を与え続けてくださいました。

 とかく自己の研究に逃げ込んで教育を侮りがちな同僚、教育者としては立派であっても研究にやや難のある同僚、権威主義的で人徳に欠ける聖職者などを見てきた私にとって、あなたのような調和のとれた素晴らしい大学人に出会い、しかも共に仕事ができたことを心の底から感謝しています。

  天は恐らく、「八代さん、もう十分に役割を果たした。早く永遠の休みに入りなさい」とおっしゃって、あなたを召したのでありましょう。八代さん、どうぞ安らかにお眠りください。

 私も老いてきました。天国での再会を心から楽しみにしております。許されるならばウィスキーを用意して待っていて下さい。

 最後になりましたが、八代さんの天国への旅立ちにつきそわれ、ご臨終に立ち会われた洋子夫人の上に、そして私もその結婚の宴に参加させていただいた愛娘知子さんをはじめとするご家族の上に豊かな慰めと平安が与えられんことを切に祈ります。

1997年4月5日              濱田陽太郎

写真は1990年3月31日 午前11時より、学院、大学関係者、工事関係者他、報道陣など総勢250名余りが集まり、
「新座キャンパス竣工感謝式」が行われた際のテープカット。一番手前が濱田総長、3番目が八代崇院長  

 濱田陽太郎先生は、一年後の1998年4月28日に、八代崇の後を追うように天に召されました。
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